永遠の命ということ

どんな宗教でも「永遠の命」という言葉が、一つの重要なテーマになっているようです。
しかし、考えてみれば、この言葉ほど曖昧なものはないでしょう。
まず、永遠とは無限の時間を意味すると思いますが、では無限とは何でしょうか。
確かに無限という言葉はありますが、我々は無限の時間を想像することが出来ないのです。
そもそも、時間も空間も人間が作った概念であり、実体として在るわけではありません。
時間も空間(距離とか長さなど)も、実生活上必要に迫られて作り上げてきた物差しにすぎないのです。
世界を時間と空間で捉えようとするのは間違いではありませんが、あくまで日常生活上の常識の範囲内で通用する概念であることわきまえなくてはなりません。
それを逸脱して用いようとすると、途端に無限などという怪しげな言葉がでてくるというわけです。

次に、命とは生命のことですが、我々は普段何気なく生命という言葉を使っています。
けれども、改めて生命とは何かと問われれば、答えに窮してしまうでしょう。
一般的には、生き物が生きた状態であること、あるいは、生物に宿っている目に見えない何かを指して生命と呼んでいるようです。
確かに、我々は生きている状態は分かりますが、何がそれを生かしているのかは分かりません。
自分自身を考えても、自分が生きていることは分かっていても、自分を生かしているものが何であるかは分かりません。

我々は肉体と意識を総称して、自分であると思っているわけですが、この場合、まず肉体が在って、それに付随して意識が在るとみるのが一般的です。
肉体が無ければ意識も無いわけですから、そう見るのは自然でしょう。
人間を人間たらしめている理性とか知性、または思考能力と呼ばれているものも意識のなかに入っています。
ただこの意識はそれほど確固として理路整然としているわけでは無く、そのときの状況次第で猫の目のように変転していきます。
我々はこの意識の流れを分析して、的確に捉えようと試みても、結局つかみようのない、曖昧なものとして、まず、まともな結論を得ることは出来ません。
最終的には不可解という壁にぶち当たってしまうのです。

というわけで、「永遠の命」という言葉が実に曖昧であることが分かりましたが、とは言え、その意味することはなんとなく分かります。
実はこの言葉は我々の概念の外に在る真実の世界を指した言葉であると見るべきでしょう。
本来、我々の知性は肉体の意志に奉仕するためにあるのだと思います。
事実、人間以外の動物は全て本能の命ずるままに生きています。
肉体の意志とは、言うまでもなく生存欲であり子孫の繁栄であり、具体的には食欲とか性欲を満たすことであり、快適な居住空間を確保することであり、また健康で長生きしたいといったことです。
知性が肉体に奉仕しているだけなら、それほど矛盾を感ずることはありません。
現代の科学はほぼこのような立場にあります。
ですから、科学的な立場にいる人は、人生にあまり矛盾を感じないでしょう。
もちろん、人生の根本問題に目覚めなければの話ですが。

また、我々の認識能力自体がすでに、時間とか空間、因果律などを前提にして成り立っていますが、これらの概念は日常生活を営む上でのみ有効です。
我々の認識能力が肉体の意志の延長線上にあるとすれば当然でしょう。
この認識能力は常識的な範囲を超えた問題、即ち、世界の本質、あるいは真実を認識することは出来ません。
なぜならば、認識する必要が無いからであり、さらに言えば、我々自身が正に当のもの、即ち、世界の本質、あるいは真理であるからです。
認識するということは、対象を認識するのであって、認識するもの自体は認識の対象にはならないし、その必要もないというわけです。

さて、先ほど「永遠の命」とは我々の概念のそとに在る真実の世界を指した言葉である、と書きましたが、実は真実の世界とは世界の本質であり、自分自身の本質でもあるのです。
我々の意識は相対的な範疇から抜け出ることは出来ません。
絶対的なものといっても、あくまで相対的な意識による想像にすぎないのです。
相対的なる疑問には相対的な答えしか出てこないのは当然のことです。
いづれにしても、有限なる意識に無限なる概念を取り入れることによって、我々の意識は首尾完結することが出来るのです。

我々の意識はいづれ消滅するでしょうが、我々の本質は正しく「永遠の命」ということになります。

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Author:magokorokara
私は学者でも、宗教家でもなく普通の社会人ですが、人生問題に悩んでいた若い頃読んだ本を長い年月というフィルターを通してみて、あらためて考えたことを整理しながら書いています。

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